食育のためのお砂糖研究所 SUGAR LAB produced by カップ印

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お砂糖のヒミツ

いざというときのために
知っておきたい!
家庭で作れるカンタン経口補水液

汗をかいたらこまめな
水分補給が必要です

わたしたちのカラダの半分以上は水分でできています。水分は、血液やリンパ液、汗、だ液、涙などの体液となって、カラダの中で重要な働きをしています。

暑い場所や湿度の高い場所で運動や作業をしていると、体内の水分や電解質(特に塩分)が大量の汗などで減ってしまいます。同じく下痢や嘔吐、発熱による発汗時も、体内の水分や電解質のバランスが崩れて、体調が悪くなってしまいます。これが熱中症や脱水症状になる原因です。

体重あたりの水分(体液)の量
子ども 70%
おとな 60%
お年寄り 50%
お母さんのお腹の中にいる赤ちゃん 90%

熱中症や脱水症状の予防に大切なのが、こまめな水分補給で、水分と一緒に電解質も補給できる「経口補水液」がおすすめです。

経口補水液ってどんなもの?

経口補水液(oral rehydration salts/ORS)は、もともと発展途上国の子どもたちのコレラなどによる脱水症状の予防や治療としてつくられ、今では世界中で治療や予防などに使われています。 経口補水液は体の中の水分を早く補うために、①水、②塩分(ナトリウムなどの電解質)、③糖分(特にぶどう糖)で作られています。この3つの割合がとても重要で、体内に吸収されやすいようにヒトのカラダの浸透圧に近い、もしくは低く調整されています。

汗などで大量に失った体内の水分を補給します。水分はカラダの中で重要な役割をしているので、暑い季節やたくさん運動をするときは、特にこまめな水分補給が大切です。
塩分 汗には水分だけでなく電解質も含まれているため、大量に汗をかいたときには水を補給するだけでは不十分です。体液の塩分濃度を戻すためには、電解質、特に塩分に含まれるナトリウムイオンの摂取が重要になります。市販の経口補水液にはナトリウムの他に、カリウムやカルシウム、マグネシウムなどが含まれています。
糖分 経口補水液に含まれる糖分はぶどう糖です。塩分に含まれるナトリウムイオンとぶどう糖を一緒にとることで、腸へ水を運び、水分が吸収されやすくなります。

経口補水液は市販で売られているので、買い置きをしておくことができますが、きちんとした配合を知っていれば、もしものとき、ご家庭にあるもので簡単に手作りすることもできますよ。

経口補水液に糖分が含まれているのは、水分や電解質を効率よく吸収させるため。
糖分が多すぎてしまうと、逆に水分や電解質の吸収が悪くなってしまうので、
3つの割合のバランスが重要だよ!

どうして糖分を一緒にとることで水分の吸収率が上がるのかというと、小腸の「ナトリウムイオン・ぶどう糖共輸送機構」という仕組みが関係しているんだ。水に塩分(ナトリウム)だけを加えた時よりも、糖分(ぶどう糖)を一定量の割合で一緒に加えた時のほうが、水分の吸収がよくなることが明らかにされているよ。

塩分と糖分を一緒に摂取すると、この「ナトリウムイオン・ぶどう糖共輸送機構」の働きで2つが同時に吸収されて、それに伴って水分も受動的に吸収されるんだ。「受動的」っていうところがポイントで、下痢などの場合でもこの機能は影響されずに働くから、塩分と糖分の配合バランスをしっかり考慮した経口補水液は効果を発揮するんだよ。

家庭で簡単につくれる
お砂糖を使った手作りレシピ

本来の経口補水液の糖分は、体内に吸収されやすいぶどう糖です。今回はぶどう糖の代わりに、家庭によくあるお砂糖を使ったレシピをご紹介していきます。

砂糖 40g(ぶどう糖20g)
3g
1L(糖質が含まれていない炭酸水でも代用可)

体内に効率よく吸収させるためには、砂糖と塩のバランスがとても重要なので、計量は正確に行いましょう。

経口補水液を飲みやすくするために、レモンやグレープフルーツの果汁を少量加えることもできますが、果汁を多く入れすぎてしまうと吸収が悪くなってしまうので、加えるときは少量(5%を目安)にしましょう。

経口補水液はたくさん汗をかいてしまったときの水分補給にピッタリ!
レシピを知っていれば、いざというとき、お砂糖を使って家庭でも簡単に作ることができるよ。
ただ手作りの経口補水液は衛生面を考えると、作り置きや持ち歩きには向きません。
夜間などすぐに市販の経口補水液が手に入らないときなどに手作りを利用しよう。

経口補水液を飲むときの注意点

いくら水分補給に最適だからといって日常の飲み物として経口補水液を飲んでしまうと、余分な塩分をとりすぎてしまう恐れがあります。熱中症のような症状が疑われるとき、大量に汗をかいてしまったとき、激しい運動をしたときなど、必要なときに飲むようにしましょう。

また下痢や吐いてしまったときは、汗をかいているとき以上にマグネシウムやカリウムなどの電解質が不足している可能性があるので、手作りではなく市販の経口補水液を利用するようにしましょう。

※高血圧や腎臓病、糖尿病などの疾患をお持ちの方や、病院で食事指導を受けている方は、かかりつけ医に相談して経口補水液を飲みましょう。

《参考資料・参考文献》
環境省 熱中症環境保健マニュアル2018
日本救急医学会 熱中症治療ガイドライン2015
■谷口 英喜 著(2013)『熱中症、脱水症に役立つ 経口補水療法ハンドブック[改訂版]ー脱水症状を改善する「飲む点滴」の活用方法』日本医療企画
■谷口 英喜 著(2018)『イラストでやさしく解説!「脱水症」と「経口補水液」のすべてがわかる本 改訂版』日本医療企画
谷口 英喜(2015)「経口補水療法」『日本生気象学会雑誌/52 巻 (2015) 4 号』pp.151-164. 日本生気象学会

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