会長メッセージのイメージ

<経営に関する振り返り>

 当社は2013年の3社完全合併以降、関係会社の整理・再編、東証一部への指定替え、株主還元強化を伴う資本政策の変革を行うとともに、主力の砂糖事業においては総合甘味サプライヤーとして、経営品質・経営効率No.1企業を目指しています。
 また、砂糖事業以外では、食品異業種であるツキオカフィルム製薬の子会社化や日新ウエルネス発足による健康産業事業の強化など、新たな事業領域への展開も積極的に推進してきたことから、中長期的な拡大・成長に向けた経営基盤の強化は果たすことができたと考えています。

<日新製糖グループの強みと課題>

 当社グループの強みは、主力の砂糖事業の収益力が高いことで、これは原料のコスト競争力が高いことや、当社独自製品であるきび砂糖、フロストシュガー、ガラクトオリゴ糖などの人気商品、全国に販売網を持つ家庭用製品群などが支えとなっており、また、お客様・ユーザーのニーズに柔軟に対応した多種多様な業務用製品群の安定供給が市場で評価されていることによります。

 一方、課題としては、事業セグメントの中で、砂糖事業の比率が高いことであり、今後は食と健康に関連した事業において成長投資を行うなど持続的な成長の為に更なる事業領域の拡大を目指していかねばなりません。

<現在及び今後の経営戦略の方向性>

 直近の2019年度については、第4四半期に新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、健康産業事業を中心に収益の下方修正を余儀なくされました。
 新型コロナウイルスの猛威は、今後も暫くの間は当社グループの経営に甚大な影響をもたらすと思っており、当社グループの全ての事業がコロナ被害を最小限に抑えるとともに、コロナ危機の長期化に備えて、事業分野毎に「コロナと共生しながら、乗り越えていく経営戦略」を構築していくことが必須事項であります。

 砂糖事業は、少子高齢化に伴う人口減少、砂糖離れ・低甘味嗜好、更に最近はコロナ禍による移動・集会の制限などから、国内砂糖消費量の減少が続いており、残念ながら将来に向けた規模拡大が難しい環境にあります。私たちはこの状況を真摯に受け止め、今後はコロナ禍にあっても、「食と健康で社会経済生活に貢献する分野」における事業領域の伸張・拡大を実現しなければなりません。

<当社におけるCSRの考え方>

 新型コロナウイルスの猛威は、地球自然環境の破壊や生物連鎖の崩壊が生み出した人災であるとも言えます。当社を含めた全ての企業にとって、「地球との共生」は、持続的な繁栄のための前提条件です。企業の最大使命は持続的な利益の追求ですが、それは、企業を取り巻く全てのステークホルダー、とりわけ、地球環境や地域社会の基盤が健全であってこその「持続性」であると言えるのです。

 前3ヵ年のCSR中期計画は、当社が初めてCSRを意識したゼロベースの活動であり、まず役員・社員への意識付けを中核課題としましたが、この3年間で、ステークホルダーからの非財務面での社会的な要請は飛躍的に強まりました。

 現在のESG(環境・社会・統治)重視の観点から、中長期の経営姿勢に関心を持つ株主などステークホルダーが増えており、CSV(共通価値・共有価値)という考え方のとおり、事業利益追求という経済価値とCSR活動による社会価値の双方を高めることが、企業の競争力を高めることに繋がると判断される状況になりました。

<CSRの次期5カ年計画(2020年度~2024年度)策定要件>

新5カ年計画は次の5点を重視して策定しました。

  • ①CSR2030年達成の長期目標および前3カ年中期計画の取り組み内容との関連性を踏まえたものとした。
  • ②CSRに関する経営環境は大きく変化しており、全従業員が日々CSRを意識して日常業務に取り組むことが出来る体制をつくる。
  • ③各重点領域とそれを支える「事業活動の基盤」において、ESG重視の観点を明確化し、次期計画および長期目標の中に取り入れた。
  • ④社外評価を意識した一般指標(FTSE)を導入し、客観的な評価を認識する。
  • ⑤CSR委員会を中心に全社的に取り組む中で、透明性を維持するために適時、適正な情報開示を行う。

<CSRの6つの重点領域上で注力すべき点>

重点毎に要点を記します。

 重点領域1.食と健康を通じた楽しいライフスタイルの提案

  • ①過度な糖質制限や間違った砂糖有害論といった砂糖のネガテイブイメージを払拭するために、砂糖に対する正しい知識を訴求していく
  • ②ガラクトオリゴ糖や今後商品開発が予定されている機能性食品/甘味料の販売促進
  • ③ツキオカフィルム製薬の環境にやさしい可食フィルムの市場浸透

 重点領域2.環境に配慮した事業プロセスの追求

  • ①省エネ、節電、CO2削減など気候変動対策(事業分野毎に具体案策定)
  • ②産業廃棄物の削減(新光糖業のゼロエミッション、食品ロス対策)
  • ③ESG重視の観点を成長投資判断に導入する

 重点領域3.責任ある原材料調達の実現

  • ①調達基本方針、調達先基準の策定
  • ②持続可能な農業に向けた生産者支援(新光糖業のさとうきび増反、増産活動を支援)

 重点領域4.安心・安全で高品質な製品・サービスの提供

  • ①地震、気象災害、感染症などに対するBCPの策定・整備及び訓練強化

 重点領域5.多様な人々が活躍できる職場環境の推進

  • ①「ニューノーマル(新常態)」「新しい生活様式」を踏まえた働き方改革の実現
  • ②健康経営の推進、労災ゼロのための取り組み強化
  • ③新しい企業風土の定着(社員が明るく、楽しく、真剣に働き、会社とともに成長する風土と体制をつくる)

 重点領域6.地域社会との共生

  • ①地域環境を守る(今福工場では、騒音、悪臭、運河汚染、火災は絶対発生させない)
  • ②地域住民との繋がり強化、災害支援体制の整備

<CSR中期計画の実現に向けた社員への期待、および今後の展望>

 会社がCSR活動を行うにあたっては、社員一人ひとりがそれぞれの業務において、ステークホルダーに与える影響、ステークホルダーから期待されていることを十分把握して、社員個人ベースでの社会的責任を果たすことが最も重要だという認識を広めていきます。
 役員・社員各位には、CSRは自分の業務達成に深く関係する密接不可分なものであるという認識に立ち、自ら進んで、業務を通じて社会的責任を果たしていくことを期待しています。

 現在、収束の見通しが立たないコロナ禍の中にあり、新常態、新しい生活様式に見合った、新しい働き方の具体案を策定することが必要ですが、そのうえで、経営における今後の展望として以下の2点を改めて共有したいと思います。

1.新規事業検討にあたっては、CSVの観点から以下の点を考慮する

  • ①コロナと共生する、もしくはコロナ後の時代においての生活スタイル・消費構造の変化、価値観の多様化などに敏感に対応するものであること
  • ②温暖化に伴う気候変動、環境汚染、生物多様性の減少、食料危機といった地球問題の解決に貢献する側面をもつものであること
  • ③SDGs17の目標やその考え方に見合った取り組みであること

2.社員の幸福実現のための企業活動を継続する

 企業にとって最も身近で大切なステークホルダーは社員であり、引き続き社員の人権、多様な働き方にきめ細かく対応した経営を行う。社員を第一に考える経営が、結果的にお客様や株主の方々など他のステークホルダーからの信頼と期待に応えることになる。

以 上(2020年9月1日)