重点領域

環境に配慮した
事業プロセスの追求

2

サプライチェーン全体で、環境負荷の削減を目指します

砂糖製造のサプライチェーンの中で、特に環境負荷が高いのが「製造」と「物流」のプロセスです。 精製糖の製造には大量のエネルギーが必要であり、省エネルギーや高効率の設備の導入は重要な課題です。また、原料糖も製品も、共に重くかさばりやすいという特徴があることから、効率のよい物流の実現が求められます。 日新製糖グループの活動が地球環境に与える影響を常に意識しながら、事業活動を行っていく必要があると認識しています。

  • タンクローリーのイメージ
  • 工場のイメージ

液糖はタンクローリー、製品はトラックでの輸送が中心

生産拠点で、様々な取り組みが進んでいます

グループの生産拠点では、様々な取り組みを展開しています。
日新製糖グループの主要工場のひとつ、大阪市の今福工場は、西日本の生産拠点として、上白糖やグラニュ糖などの定番製品のほか、飲料メーカーで多く使用されている液糖や季節的需要の高い氷砂糖も含めた多品種の製品を生産することができる国内でも珍しい製糖工場です。
その製造プロセスの中で、CO2排出量やエネルギー原単位の管理を厳密に行い、環境負荷低減を目指した取り組みに着手しています。

省エネルギー

今福工場では、毎年エネルギー原単位の1%以上削減を目標に、省エネ活動に力を入れています。
1993年に重油から都市ガスのボイラーへ切り替え、2003年には小型のボイラーに置き換えました。ボイラーを小型化することで、工場の負荷変動に応じて細やかな燃焼管理ができ、ムダを減らすことができます。2014年には高効率のボイラーに変更、CO2排出量・窒素酸化物排出量のさらなる削減を実現、2018年には工場全体の照明のLED化を完了させました。

省エネルギーに貢献する高効率の小型ボイラーのイメージ

省エネルギーに貢献する高効率の小型ボイラー

水の使用量削減

今福工場では1日約1,000トンの水を使用します。そのうち、上水で約200トン、それ以外の約800トンは工業用水を自社で浄化して利用しています。
水をムダに使用することのないよう、製造工程におけるプロセス管理を徹底するとともに積極的な再利用を推進しています。

運河と「はしけ」を使った原料輸送

はしけの利用はトラック輸送に比してCO2排出量などの削減効果が大きく、川沿いの立地という地の利を活かした環境負荷を低減する輸送手段として1954(昭和29)年から導入されており、現在も一度に400トンの原料糖の搬送を可能とする今福工場における主要な輸送手段です。

「はしけ」で今福工場まで運ばれてきた原料糖のイメージ

「はしけ」で今福工場まで運ばれてきた原料糖

廃棄物削減に向けて

砂糖の小袋や豆袋(カップシュガー)の生産に欠かすことのできない包材については、薄肉化による廃棄物の削減や、印刷インキに水性・植物油・バイオマス系インキを使用することでの石油原料使用量の削減を推進していきます。

グループ全体でも、環境負荷低減に向けて取り組みます

ご紹介した取り組みの他にも、以下のような事例に取り組んでいます。
●本社・千葉地区を含む日新製糖では、2024年までにCO2排出量の5%低減(対2019年度)という目標を掲げています。
●エコオフィス活動として、社内の照明・換気扇のエコ化、営業車・社用車のエコカー切り替え、文房具・オフィス家具等の社内備品についてのグリーン購入を拡大していきます。また、業務に使用するコピー用紙の数量を把握し、使用量を30%削減することを目指しています。
●千葉地区にある物流部門では、リードタイム(商品を受注してから納品されるまでの時間や日数)の見直しや共同配送によるトラック台数の削減による物流の効率化を追求していきます。
●種子島の新光糖業では、さとうきび圧搾後のバガスを燃焼してボイラーで蒸気を発生させ、その蒸気でタービンを回して発電する設備を稼働させているほか、工場で発生する熱を蓄熱し、島内でエネルギーリサイクルを行う研究を大学と共同で始めています。

  • バガスのイメージ

    バガス

  • ボイラー設備のイメージ

    ボイラー設備

  • バガス燃焼のイメージ

    バガス燃焼

一つひとつの活動を積み重ね、地球環境への負荷を低減した事業活動をグループ全体で実現していく考えです。

活動の現場から

「はしけ」は、
「水の都」ならではの
環境にやさしい輸送方法

日新製糖株式会社 生産本部 今福工場 製造部長 廣渡 洋二

生産本部 今福工場 製造部長 廣渡 洋二のイメージ

大阪は昔から、川と運河が幾筋も流れ、水路による物資輸送が盛んな土地でした。今福工場が立地しているのも城北運河沿いで、創業当時から「はしけ」を使った原料糖の輸送が行われてきました。
「はしけ」は、一度に400トンもの輸送能力を有しています。10トンダンプカーなら40台分にもなります。今福工場周辺は住宅地に囲まれ、道幅も狭いことを考慮すると、工場のすぐ裏に運河が流れる地の利を生かし、周辺地域の環境にも配慮した合理的な輸送手段と言えるでしょう。
さらに「はしけ」は、CO2排出量がダンプカーの4分の1という点でも、環境負荷の低い輸送手段といえます。
当社の「はしけ」輸送は、古き良き水の都・大阪を偲ばせる輸送風景として、大阪市の都市景観資源にも登録されています。この地で操業していくために不可欠な「はしけ」で、今後も地域と地球にやさしい輸送を続けていきます。